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師走の夜、ホワイトグラタンが運ぶ「温かな待ち時間」と食卓の風景
スタッフライター:こじ
師走だからこその食卓づくり
カレンダーの残りページがわずかになり、街の灯りが一際華やぐ12月。
仕事納めに向けての追い込み、年末年始の準備、そして新年の段取り……
あちこち走り回っているうちに、気づくと一日が終わってしまっている……なんてことも多い時期です。
寒さが厳しさを増すこの季節、「暖かい部屋と温かい食事」が待っていると想像するだけで、家路を急ぐ足取りは不思議と軽くなるものです。
バタバタと忙しない師走だからこそ、早めに帰宅できた夜には、寒さでかじかんだ心身を内側から暖めてくれるような食卓づくりを大切にしたいものです。
五感で味わう、冬のあつあつグラタン
冬の料理には、単に空腹を満たす以上の意味があるように感じます。
それは、冷え切った体を温め、凍えた指先や強張った心をほぐすという、暮らしの中の「熱源」としての役割です。
中でも、この季節になると無性に恋しくなるのが、アツアツのホワイトグラタンです。
とろりとしたチーズとホワイトソースが絡み合うオーブン料理は、調理の過程そのものが、冬の部屋を幸せな空気で満たしてくれるようです。
下ごしらえを終え、重厚な耐熱皿を庫内へと滑り込ませスイッチを入れると……
やがてキッチンから部屋全体へ、チーズの軽く焦げる香ばしい匂いや、ソースがふつふつと煮立つ音が広がり始めます。
それはまるで、料理そのものが部屋の暖房の一部となり、冬の寒さを窓の外へと追いやってくれるかのようです。
立ち上る白い湯気、食欲をそそる音と香り、そしてオーブンの扉越しに漏れるオレンジ色の灯火――
これらすべてが、冬の夜ならではの「五感のご馳走」といえるかもしれません。
「待つ時間」を楽しむという贅沢
また、オーブン料理の良さは、私たちに「豊かな待ち時間」をもたらしてくれる点にもあります。
フライパンや鍋の前で火加減チェックにつきっきりになる調理とは異なり、オーブンに任せている間は、ほんの少し手の空く時間ができます。
10分、あるいは15分――
こんがりきつね色の焼き上がりを待つ、その少しの「余白」が、忙しい日常の中にふっと息をつく余裕を生み出してくれます。
お気に入りのクロスを広げてテーブルを整えてみたり、照明を少し落として日常とちょっと違った雰囲気を楽しんでみたり……
あるいは、料理に合わせて用意したワインをゆっくりと開栓するのも良いでしょう。
「あと何分で焼けるかな」と会話を弾ませながら待つ団欒の時間は、食事への期待を高めるためのスパイスです。
忙しさで食事が単なる作業になりがちな師走こそ、あえて時間のかかるオーブン料理を選んでみる――
そうして生まれた「待つ時間」を慈しむことこそが、ちょっぴり大人な冬の楽しみ方なのかもしれません。
熱々の器を囲み、白い湯気の向こうでハフハフと息を漏らしながら頬張るひとときは、心身共に慌ただしい年末を乗り切るための熱量となるはずです。
今夜は、心まで温まる一皿を囲んでみてはいかがでしょうか。
【今夜の一皿】
冬の食卓の主役にぴったりのレシピを、朝日新聞「料理メモ」からご紹介します。
エビグラタン
主な材料(2人前)
1.無頭エビ6匹(80g)
2.マッシュルーム6~8個(100g)
3.ブロッコリー50g
4.ピザチーズ20g
5.バター30g
6.小麦粉大さじ1 1/2
7.牛乳250ml
作り方
1.エビは殻をむき、背に切り込みを入れて背ワタを除きます
2.マッシュルームは縦四つに切り、ブロッコリーは小房に分けてゆでます
3.エビとマッシュルームはそれぞれ、バター5gずつで炒めておきます
4.ホワイトソースを作ります
5.鍋に残りのバター20gを溶かして火を止め、小麦粉を入れてよく混ぜます
6.弱火で1分ほど炒め、牛乳のうち100mlを加えます
7.中火で混ぜながら、均一になるまで煮ます
8.残りの牛乳を少しずつ加えて混ぜ、マヨネーズに近い硬さまで煮詰めます
9.塩・コショウ各少々で味をつけます
10.ソースにエビ、マッシュルーム、ブロッコリーを加えて耐熱皿に入れ、チーズをのせます
11.オーブンかオーブントースターで10分ほど焼き色がつくまで焼きます
レシピ提供:朝日新聞 料理メモ
2023年12月19日掲載 「エビグラタン」から
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